「よかったらどうぞ」の裏に潜む無言の圧力
「よかったらどうぞ」。英語では IF YOU WANT と訳されますが、日本での使われ方には、少し異なるニュアンスが潜んでいます。
言葉の形だけを見れば、決めるのは相手の側です。それでも、本当に選択権が相手に委ねられているのかというと、そうとも限りません。その場の状況のほうが、選べる範囲を狭めていることがあります。
お釣りを手に持って待たれると、選べなくなります
日常の場面から考えてみます。コンビニやスーパーのレジで、店員さんがお釣りを手に持って待っている光景。この待つという行為は、実は相手の選択権を制限しています。
本来、受け取る側にはいくつもの選択肢があるはずです。今すぐ受け取る。お財布の準備をしてから受け取る。商品を持っているので、カウンターに置いていただく。レシートと一緒に受け取る。支払いカードをしまってから受け取る。
しかし、店員さんが手に持って待っている状況では、受け取る側は「急いで受け取らなければ」という無言の圧力を感じてしまいます。結果として、本来あるはずの選択肢が、実質的に奪われています。
はっきり急かされたわけではありません。それでも、選べたはずのものが選べなくなります。私たちは無意識のうちに、選択権を制限する文化を受け継いでいることがあります。例えば、サービスの売り上げが思わしくない時。本当の意味で、買っても買わなくてもいい、という姿勢を貫けているかどうか。
300年続く老舗は、待っています
創業300年を超える老舗企業を思い浮かべてみます。彼らは決して、一人のお客様を捕まえて熱心に購入を促すようなことはしません。むしろ、ゆったりとした佇まいで、お客様の選択をお待ちしています。
長い歴史の中で培われた確かな価値があるからこそ、真の選択権をお客様に委ねることができます。このような姿勢は、一朝一夕には築けません。事業の成長段階では、売上や数字を追いかけることも時には必要かもしれません。それでも、早い段階から「選んでいただく」という視点を持つことが大切だと考えています。
選択権を渡すというのは、こういうことです
事業を展開するうえで自問したい問いが3つあります。本当に相手に選択権を委ねているか。無意識の圧力をかけていないか。選択の自由を奪っていないか。
真の「よかったらどうぞ」は、相手のすべての選択肢を受け入れる覚悟から始まります。「選ばせる」のではなく「選んでいただく」という姿勢です。相手が選ばないという選択肢まで、あらかじめ受け入れておくということになります。
スラトレ®は、自分の才能を、自分で扱えるようになるためのメンタル思考トレーニングです。いまの才能タイプと思考のクセが六角形で出る、30の質問を置いています。選択権が渡っているかどうかを、その場の状況のほうから見る、という順番です。