起点は、今すでにできることの側にあります
何かを始めようとすると、まず足りないものが目に入ります。資格、実績、道具、時間。そろえてから始めよう、と考えるのは自然な順序に見えます。
けれど、そろえる側から組むと、始まる日がいつまでも先に動きます。未来に「できるかもしれないこと」ではなく、今「既にできること」に基づいてモデルを組むほうが、失敗しにくい王道だと書かれています。
理由は単純です。今できることは、すでに検証が済んでいます。誰かに頼まれて実際にやったことがあり、相手が受け取ったという事実があります。これから身につけるものには、その事実がまだありません。
「何もない」の中身を、開いてみます
自分には何もできない、と感じる方は多くいらっしゃいます。ところが中身を開くと、たいてい三つが出てきます。
健康な体で自由に動けること。学歴・職歴・生活経験があること。そして、誰かに相談されてきたテーマがあること。三つめが特に効きます。相談されるということは、その領域で自分が使えると相手が判断した、ということだからです。
これだけで十分出発できます、というのが元の記事の立場です。特別な資格は必須ではありません。何もないのではなく、自分の持ちものが自分にとって当たり前になっていて、見えていないだけ、という言い方になります。
市場調査より先に、自分の過去を振り返ります
マーケティングの教科書では、市場調査の重要性が説かれます。それでも、最も有効なのは自分の過去を振り返ることだと書かれています。
過去の自分に似た人が、共感者になります。何に困り、何を調べ、どこで手が止まったか。その記録は、他のどこにも売っていない一次情報です。だから、外部の調査に出かける前に、自己内観のほうを先に置きます。
もう一つ、検索の考え方も同じ向きです。大手との一般的な検索順位の勝負は、高コストで高難度になります。個人や小さな組織にとって現実的なのは、顧客が名前で探してくれる状態を育てるほうです。名指しで探される関係は、過去の経験を語ってきた積み重ねの上に立ちます。
競う相手を、過去の自分に置き換える
何事も時間がかかります。努力が必ず結果に直結するとは限りませんが、理想に近づくための修正の道しるべは蓄積されていきます。だからこそ、早く始めることに価値があります。
そして、競うべきは他人でも大手でもなく、過去の自分です。比べる相手を外に置くと、勝てない条件が毎日更新されます。内に置くと、昨日より一つ増えたかどうかだけが基準になります。成果は時間差でやってきます。
小さく始め、早く始める。今できることを起点にする。この二つが決まれば、始める日を先に動かす理由はなくなります。
一日の終わりに思い出す相手が、うまくいっている誰かではなく、昨日の自分になります。勝てない条件が毎日更新される場所から降りて、増えた一つを自分で数えます。外の速度に急かされる動き方から、自分の速度で積む動き方へ。小さく早く始めるというのは、その位置に立つことです。