同じ十回が、楽になる
腕立て伏せを十回。最初はきついのに、続けているうちに同じ十回が楽になります。回数を増やせるようにもなります。筋肉が鍛えられたからです。
思考にも同じ原理が当てはまる、という見方があります。ストレスを感じたとき、感情に振り回されるとき、判断に迷うとき。そのたびに消耗するのは、思考の側の力がまだ育っていないからかもしれません。
鍛えれば変わる。筋肉についてなら当たり前に受け入れられていることが、思考についてはあまり言われません。
手当てと、ストレッチと、筋トレ
心のケアと聞いて思い浮かぶのは、カウンセリング、瞑想、マインドフルネスあたりでしょうか。どれも価値のある方法ですが、目的と働きが違います。
カウンセリングは、過去の出来事や感情を整理する場です。聴いてもらうことで心の負荷を軽くする。急なつらさに対する応急処置、つまり怪我の手当てに近い役割です。
瞑想やマインドフルネスは、いまこの瞬間に意識を向ける練習です。日常の柔軟性を保つための手入れにあたります。位置としてはストレッチです。
思考のトレーニングは、思考の使い方そのものを扱います。判断する力、感情との付き合い方、人と関わるときの働き。能動的な能力開発なので、筋トレの位置に来ます。
三つは対立しません。組み合わせたほうが効きます。
気づく、置き換える、日常で使う
筋トレにあたる部分は、三つの段階に分かれます。
はじめは、自分の思考の型を見えるようにすること。なぜこの場面でいらだつのか。なぜこの判断で迷うのか。無意識の癖に気づくところから始まります。多くの人は、自分の思考の型を言葉にしたことがありません。気づくだけで、見え方が変わることがあります。
次に、置き換えの練習です。同じ状況でも、思考の使い方を変えると反応が変わる。別の考え方もできる、という経験を繰り返すうちに、新しい型が定着していきます。
最後に、日常で使うこと。仕事や人付き合いの中で実際に使えることを重んじます。ジムの中だけで使える筋肉では意味がない、というのと同じ理屈です。土台にあるのは、感情知性(Emotional Intelligence、EI)の研究から体系化されてきた手法です。スタンフォード大学のLaura Delizonna氏らが論じてきた分野とされていて、近年注目されています。
その前に、別の窓口へ渡す線
この方法は医療行為ではなく、自己成長を目的とした訓練です。だから、先に別の窓口へ行ったほうがよい場面があります。
急性期の精神の不調があるときは、精神科や心療内科へ。慢性的なトラウマを抱えているときは、EMDRを専門とする臨床心理士や公認心理師へ。体の症状が強く出ているときは、内科や整形外科などへ。訓練より、専門の医療機関が先に来ます。
その線の内側であれば、向いている場面ははっきりしています。判断疲れがあるとき。感情に振り回されて消耗しているとき。自分は大丈夫だと思って限界まで進んでしまうとき。カウンセリングを受けて、もう少し踏み込んだ形がほしいと感じたとき。肩こりや腰痛、眠りの浅さといった体の不調の裏に、心の疲れがありそうだと感じたとき。
環境は変わっていないのに、自分の反応が変わった。そうなったときが、思考の側が育った合図です。
スラトレ®は、自分の才能を、自分で扱えるようになるためのメンタル思考トレーニングです。いまの才能タイプと思考のクセが六角形で出る、30の質問を置いています。