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壊れてから直す、という順番について

体調が悪くなってから病院へ、という順番は、費用の面から見ると後手に回りやすい形をしています。

公開日:2025年7月9日 / からだのこと

悪くなってから、という順番

体調が悪くなってから病院に行く。日本では、これが当たり前の順番です。困ったときに医療にたどり着ける仕組みがあること自体は、よくできています。

一方で、診察室では別の思いが繰り返し浮かびます。なぜ、ここまでひどくなるまで放っておいたのか。口には出せない問いです。

放っておいたのは、怠けていたからではありません。順番のほうがそうなっているからです。予防のためにお金をかける、という発想自体が、まだ根づいていません。

もう一つ、順番を後手にしているものがあります。健康のありがたみを感じて病院を訪れる人はいません。多くは、恐怖心や危機感から受診に至ります。そして、その受診先は治療の医師です。そこで予防法を尋ねるのは、うどん屋へ行ってパスタを作ってくれと注文するのに近い形になります。店にも客にも落ち度がないのに、注文だけがかみ合っていない。

分野は三つに分かれています。治療医学は、病気や怪我を治すことが目的で、担い手は病院の医師や外科医。予防医学は、病気を防ぐ知識を提供することが目的で、担い手は産業医やライフスタイル医学。健康増進は、満たされた状態を維持することが目的で、担い手は統合医療や予防専門医です。重なる部分はありますが、役割は分かれています。

壊れたあとに立つ費用

手術が要る状態になると、当然、費用がかかります。入院費、投薬代、手術代、リハビリテーション費、通院費、移動に伴う交通費。ここまでは分かりやすい分です。

見えにくい分はその先にあります。休職による収入の減少。家族が介護に回る分の負担。出ていく側が増えているときに、入ってくる側が減ります。

会社に置き換えれば、いわば倒産寸前の状態です。事後の対応にかかるコストは、予防に置く分の何倍にもなります。設備の手入れと同じで、体も壊れてからでは遅い、という言い方ができます。

設備には点検があり、体にはない

企業の設備管理では、当たり前に行われていることがあります。定期的な点検で異常を早めに見つける。小さな手入れで大きな故障を防ぐ。使用条件に合わせて調整する。使う人自身が日常の管理をできる仕組みを持つ。

この四つを、自分の体に当てている人は多くありません。設備には当てて、体には当てていない。多くの経営者が落ちるのは、この差のところです。

同じ形の問いが、二つ置かれています。一つめは、毎朝、自分の骨格に合った専用の体操メニューを持っているか。これに堂々とはいと答える人には、まだ出会ったことがない、と語られています。ほとんどが、汎用の健康情報を自己流に試している状態です。汎用の情報は、誰にでも当たる場所に置かれているぶん、個々の骨格に合わせては作られていません。

二つめは、自分の体の取扱説明書を持っているか。どんな姿勢が負担を生み、どんな運動が自分に合い、どこが弱点か。車や家電には取扱説明書がありますが、体の説明書を持っている人はごく少数です。

体と心は、経営資源の中でも、てこの効きが大きいほうです。判断の質、動ける量、まわりへの影響。どれも自分の心身の状態の上に乗っています。

消費として置くか、投資として置くか

健康への支出を消費として扱うか、投資として扱うか。この置き方の違いが、長い目で見ると大きな差になります。

投資として扱うなら、金額と期間が要ります。ジム、サプリメント、施術、医療費。出ている分を月額で並べてみる。そして、健康を損なったときに立つ費用、つまり休業、治療、機会損失と、並べて見比べる。経営の判断と同じ形で自分の体を見る、という習慣です。

健診の結果があるなら、それは経営資源の現状報告書として読めます。数字の並んだ紙を、そういう目で読み直すところから始められます。

ここまでが、なぜ予防にお金をかけないのか、という問いへの答えです。ただ、問いが三つ立ったところで、次に困るのは書き方のほうです。頭の中に置いたままの問いは、月末には消えています。

三つの問いを、書き込める形にどう落とすか。これは、消費か投資かとは別の問いになります。

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※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・心理療法ではありません。個人の感想であり、効果を保証するものではありません。