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健診の「異常なし」が、見ていない領域があります

体を動かすための部位に生じる不調は、健診の項目にはほとんど入っていません。

公開日:2025年10月24日 / からだのこと

体を動かす部位に生じる不調のこと

運動器障害とは、筋肉、骨、関節、腱など、体を動かすための部位に生じる機能障害を指します。

具体的には、慢性的な腰の痛みや肩のこり、膝や股関節などの関節症、骨粗鬆症と骨折のリスク、筋力低下(サルコペニア)、スポーツに関連する慢性の障害、労働に関連する反復性の負傷が含まれます。

年齢のせい、体質のせいとして片づけられがちですが、位置づけとしては世界的な健康課題にあたります。

数字で見ると

2012年の米国の調査では、成人の約半数が運動器の障害を抱えているとされています。2019年のデータでは、世界で約17億1000万人がこの障害を抱えています。障害調整生命年(DALY)の17パーセントを占める、という数字も出ています。

障害調整生命年とは、病気や障害によって健康に過ごせるはずだった年月がどれだけ失われたかを示す指標です。運動器の障害が全体の17パーセントを占めるということは、人類の健康損失の大きな割合をこの領域が占めている、ということになります。

慢性的な痛みや動作の制限は、仕事のパフォーマンス、家族との生活、社会活動への参加、睡眠の質、そして精神面にまで広がります。痛みだけの問題としては収まりません。

日本で二十五年動いていない順位

日本では、肩こりと腰痛が国民の不調の一位と二位を、二十五年以上にわたって占め続けています。

背景には制度の課題があります。運動器の回復を総合的に監督する診療科、PM&R(Physical Medicine and Rehabilitation)にあたるものが、日本には存在しません。

代わりにあるのは、独立して並んでいる施設です。整形外科(手術と投薬が中心)、整骨院(柔道整復師による施術)、整体やカイロプラクティック(民間資格)、リハビリ施設(医師の指示のもと)、鍼灸院やマッサージ院。それぞれが専門性を持っていますが、組み合わせを判断するのは通う本人です。これが、慢性化した状態が動きにくい構造的な原因にあたります。

世界では統合が進んでいます。米国で確立されたPM&Rは四年から五年の専門研修を経る診療科で、カナダも同様の制度です。ヨーロッパではPRMという名前で三十カ国以上、アジアでは台湾と韓国で発展が進み、特に台湾は専門医の育成に力を入れています。

自分の側に置ける点検と、四つの置きどころ

健診で特に異常なしと出た方でも、次の項目に当てはまるものがあるかもしれません。起床時に腰や肩がこわばっている。階段を下りるときに膝に違和感がある。長時間のデスクワークで首や肩が重い。しゃがみこんだり靴下を履く動作が以前より辛い。眠っても疲れが取れない。寒い日に節々が痛む。立ち上がりや歩き始めに違和感がある。

三つ以上当てはまる場合は、運動器の状態が進んでいる可能性があります。健診の「異常なし」は、運動器の状態までは評価していないことが多いためです。

置きどころは四つあります。ひとつ、統合的な視点を自分で持つこと。監督する診療科が無い以上、整形外科、リハビリ、運動指導を自分で組み合わせて管理することになります。ふたつ、予防的な運動を日常に置くこと。運動器は使わないと弱る臓器で、毎日少しでも動かす習慣が将来の障害の予防につながる、という位置づけです。みっつ、痛みを我慢しないこと。年のせいで片づけず、慢性化する前に相談する。よっつ、姿勢と生活環境を見直すこと。長時間の座位、偏った動作、合わない寝具といった日常の積み重ねが、最大の要因とされています。

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※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・心理療法ではありません。個人の感想であり、効果を保証するものではありません。