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医学は、もともと生きるための学問です

保険証で受けられる医療にははっきりした輪郭があり、その外側にも困りごとは起きます。

公開日:2023年12月27日 / からだのこと

保険で受けられることには、輪郭があります

病院にかかるとき、保険証を出します。そこで受けられるのは、体の病気やけがの治療です。日本の皆保険制度は、この範囲に特化した、素晴らしい仕組みだと評価されています。

この範囲のことを、狭い意味での医療サービスと呼ぶことがあります。狭いというのは、劣っているという意味ではありません。守備範囲が決まっている、という意味です。何を扱うのかがはっきりしているぶん、どこへ行けばよいかも分かりやすい。病気やけがという形になったものは、ここで扱われます。逆にいえば、その形をとらないものは、この範囲の外に出ます。

医療の本質を、狭・競・広・奥という四つの視点に分けて捉える見方があります。いま見たのが、そのうちの狭にあたります。

輪郭の外側にも、困りごとは起きます

体の病気やけがという形をとらない不調もあります。ライフ面の病気やけが、という言い方をすることがあります。気持ちの側の消耗、生活の質の落ち込み、全体としての調子の悪さ。こうしたものは、治療という枠には収まりきりません。

現在の保険診療は、体の側の治療には特化していますが、この領域には十分に対応しきれていない、という見方があります。心の健康や総合的な調子を含めた幅広い範囲を扱おうとするとき、それは広い意味での医療サービスと呼ばれることになります。四つのうちの広です。目指しているのは、治すことよりも、一人ひとりの生活の質を大きく向上させることのほうです。

2020年に、このライフ面の病気やけがに正面から取り組むと決めています。それまでに培った知見と技術を総動員する、という考えで、従来の病院を離れる決断がここに置かれました。

健康を扱う側の健康は、どこにも入っていません

三つ目が競です。医療の現場には、競技に似た文化があります。同僚と切磋琢磨し、まるで競技のように業績やキャリアを競い合う。その中で、本来は健康のプロであるはずの人たちの健康や幸福が、年々危ぶまれてきました。若手の医師が過労で心身を損なう問題も深刻になっています。

競い合うこと自体が悪いわけではありません。ただ、健康を扱う仕事の内側で、その仕事をしている人の健康が危ぶまれている。この状態には疑念を抱かざるを得ない、という言い方がされています。

四つ目は、まだ言葉になりきっていない部分です

四つ目が奥、長年の実践と研究から培ってきたものを指します。国内外での経験から得た知恵をもとに、医療という枠にとどまらず、心身のバランスを整え、日々の活力を最大限にする方法として置かれています。単なるストレス管理や体の回復を明らかに超えたもので、リーダーとしての役割をよりよく果たすうえでの手がかりや、年齢にとらわれず力を発揮するための考え方も含むとされています。

医学とはもともと、生きるための学問だという言い方があります。治すための技術という面と、生きるための学問という面。同じ言葉の中に、この二つが入っています。四つに分けると、どこが埋まっていて、どこが空いているのかが見えます。

ただ、四つの視点を知っても、目の前の困りごとをどの欄に置くのかは自動では決まりません。狭に置けるものなのか、広に置くものなのか。自分で置き分けるとき、何を手がかりにするのか。これは、四つの説明とは別の問いになります。

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※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・心理療法ではありません。個人の感想であり、効果を保証するものではありません。