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看護師・PT・OT・薬剤師が自分の名前で動く、5つの収入の入り口

夜勤明けの電車で集めた知識が、明日の自分の動きに変わらないままになっていませんか。

公開日:2026年6月4日 / 働き方を見直す

夜勤明けの帰り道、スマホを開く。

看護師のnoteを漁る。PTの副業ブログを読み込む。作業療法士のYouTubeチャンネルを見る。薬剤師の起業ストーリーに目を通す。

「無料の情報は、もう浴びるほど集めた。無料セミナーにも、いくつか登録した。メルカリや転売も、少し触ってみた。」

でも、集めても集めても、その知識が、明日の自分の動きに変わらない。

そんな経験は、ないでしょうか。

──それは、あなたの能力の問題ではありません。

看護師として、理学療法士として、作業療法士として、薬剤師として。20年、30年と現場で患者さんに向き合ってきた専門性は、必ず外の世界で価値を持ちます。ただ、その価値を「自分の名前で動かす」入り口は、まだ多くの方が、知らないだけなのです。

今回は、看護師・PT・OT・薬剤師が「自分の名前で動く」5つの収入の入り口を、整形外科医である私(Dr.EKO)の視点から、ご紹介します。

私の20年は、この組織の中だけで終わっていいのだろうか——現場で20年、見えてくるもう一つの問い

国家資格を持って、現場で長く働いてきた方なら、たぶん心の奥のどこかで、こう感じたことがあるはずです。

「私の20年は、この組織の中だけで終わっていいのだろうか」

「私が積み上げてきたものは、もっと別の場所でも、誰かの役に立つのではないか」

これは、組織への不満ではありません。仕事を辞めたい、という話でもありません。むしろ、「現場の仕事は好きだからこそ、自分の積み重ねを、もう少し広く動かしてみたい」──そういう、静かで前向きな問いです。

そして、この問いに対する答えは、すでに存在しています。お金の入り方を、5つに整理してお見せします。

医師には届かない言葉を、毎日翻訳している——整形外科医から見た皆さんの強み

整形外科医として、長年、看護師・PT・OT・薬剤師の方々と一緒に現場で働いてきました。そのなかで、ずっと感じてきたことがあります。

看護師・PT・OT・薬剤師は、医師よりも「翻訳」の達人です。

医師は、医学的に正しい言葉で診断や治療を組み立てます。でも、その言葉は、患者さんやそのご家族には、そのままでは届きません。その「届かない医師の言葉」を、患者さんが分かる言葉に翻訳し、生活の中で実行できる形に変えて手渡す──これを毎日、何十人もの患者さんに対して行っているのが、看護師・PT・OT・薬剤師の皆さんです。

退院指導の場面。リハビリの動作の説明。お薬の飲み方の確認。ご家族への声かけ。これらすべてが、「医療の言葉」と「生活の言葉」のあいだを、毎日、行ったり来たりする翻訳作業です。

20年、30年と現場で翻訳を続けてきた皆さんは、医師には絶対にできない「橋渡しの専門性」を、すでにお持ちです。この強みは、診察室や病棟の外でも、必ず必要とされます。ただ、その動かし方を、まだ習っていないだけ。

なにわとカリフォルニアで過ごしてきた——だから私は「翻訳する医師」として立っています

正直に申し上げると、私自身も、医師として教育を受けてきたなかで、「自分の専門性に値段をつける」という発想は、長らく持っていませんでした。

それが変わったのは、なにわとカリフォルニア──医療の聖域文化からもっとも遠い、二つの土地で過ごしてきたからかもしれません。商売の話を本音で交わす文化と、価値の見立てを日常の言語にしている文化。その二つに触れてきたことが、いまの私の視点を作っています。

だから今、私は「翻訳する医師」として、ここに立っています。皆さんがすでに持っている「橋渡しの専門性」を、自分の名前で動かしていく入り口を、一緒に整理してみたいと思います。

順番に試せます——「自分の名前で動く」5つの収入の入り口

大事なのは、順番に試せるということ。いきなり全部やる必要はありません。形1から、自分のペースで進めていけます。

形1:現場収入(土台の形) 今の職場での働きから生まれる収入です。病院・施設・薬局・訪問看護ステーション・治療院など、組織の中での給与。このシリーズは、「現場を辞める」前提ではありません。むしろ、現場の経験こそが、他の4つの形のすべての土台になります。

形2:現場の中で「自分の名前」を立ち上げる形 もっとも入口として優しい形です。院内・施設内勉強会の講師を引き受ける。若手スタッフの教育担当を任される。患者さんやご家族向けのパンフレット・指導用資料を作成する。退院支援チームや感染対策委員会など、横断的な役割を担う。学会や研究会で、自分の事例を発表する。収入が大きく変わるわけではありません。でも、組織の中でも「○○さんに頼みたい」と名前で呼ばれる立ち位置を作ることができます。ここで得た「教える」「伝える」「まとめる」経験が、形3以降の土台になります。

形3:伝える形(発信) noteでの有料記事の販売。Kindle個人出版。YouTube・Podcast。メルマガ・有料コミュニティの運営。医療系メディアへの寄稿・連載。学会・市民講座・企業セミナーでの講演。皆さんは、医師よりも、患者さんやそのご家族に近い言葉を持っています。だから、「医療の専門知識」を「読者の生活の言葉」に翻訳する力で、医師には書けない・話せない記事や動画を、作ることができます。

形4:直接届ける形 組織の看板ではなく、自分の名前で、個人や組織に直接サービスを届けることから生まれる収入です。個別相談・コーチング。自費の整体・ケア・カウンセリング・服薬相談。自分が設計したオンラインプログラム・継続会員制サービス。企業の健康相談アドバイザー。学校・教育現場での専門家招聘講師。地域包括支援センターや行政の相談員。この形の特徴は、価格を、自分自身が判断することです。

形5:資産を持つ形 自分が直接働かなくても入ってくる収入の形です。株式・債券などの金融投資。不動産投資。共同経営者として法人に参画する。自分が設立または出資した法人からの配当。医師より給与水準が低い分、最初は少額からのスタートになります。でも、形2〜4で「自分の名前で動かす」経験を積み重ねるなかで、自然と形5への扉も開いていきます。

22年、週1日、還暦から——3人の、ある一日

40代・看護師のAさん(東京) 平日は総合病院の病棟で22年勤務。月に2回、院内研修の講師。月に4〜6本、看護師向けnoteで有料記事を配信。不定期で単発の健診バイト。組み合わせは形1+形2+形3。

夜勤明けにスマホでnoteや副業ブログを漁る日々が、半年ほど続いていたそうです。ある日、自分が書いた退院指導のメモが、ご家族から「保存しておきたい」と言われたことをきっかけに、看護師向けnoteを始めました。最初は「無料記事」でしたが、いまでは有料記事も書いています。「自分の22年が、こうやって誰かの役に立つんだ」という手応えを、初めて自分の名前で受け取った、と話しています。

50代・理学療法士のBさん(神奈川) 月〜金は病院でのリハビリ業務。土曜は週1日のみ、自分の自費整体ルームを運営(完全予約制・一日4人)。不定期でPT向けの技術解説動画をYouTubeで配信。年に2回、理学療法士会の地方研修で講師。組み合わせは形1+形2+形3+形4。

自費整体ルームを始めるとき、いちばん悩んだのは「値段」でした。最初は近隣の整体院と同じくらいの価格に設定し、参加者の反応を見ながら、半年ごとに見直していった、と話しています。「保険の枠を超えて、この人のために、この時間を使う」という働き方を、自分の名前で実現できるようになりました。

60代・薬剤師のCさん(地方都市) 週3日は調剤薬局で勤務。週1日、地域の中小企業の健康相談アドバイザーとして訪問。不定期で服薬管理についてKindle個人出版。地元行政から、お薬講座の講師依頼が年4回。組み合わせは形1+形3+形4。

還暦を超えてから、企業健康相談の仕事を始めました。最初は知人のつてで一社だけでしたが、活動が口コミで広がり、いまでは複数の中小企業から定期的に声がかかります。「自分の薬剤師としての35年が、診療所の外でも、こんなに必要とされていたのか」と、本人がいちばん驚いている、と話しています。

3人とも、「複雑なビジネスを立ち上げた」わけではありません。自分の専門性を、自分のペースで、現場の外にも届けているだけです。スマホとPC、そして20年以上現場で培ってきた「橋渡しの専門性」があれば、できることばかりです。

「これが3,500円の本か」と値踏みしてみる——値段をつけられるようになる近道

ここまで読んでくださって、こう感じている方もいるかもしれません。「形4の話、興味はある。でも、自分のサービスに、いくらの値段をつけていいかが、わからない」

これは、看護師・PT・OT・薬剤師の方が、もっとも難しいと感じる場面です。医療業界の中では、給与は組織が決めて、診療報酬は国が決める。「自分のサービスは、いくらか」を自分で値踏みする訓練は、長い臨床経験のなかでも、ほとんど積めません。

これには、わりと明確な答えがあります。まず、自分が「いい値段で価値を受け取る側」を経験することです。

高い本を読む。「これが3,500円の本か」と、自分の中で値踏みする。有料記事を買う。「この情報に1,500円払う価値があったか」と、自分で振り返る。有料の相談やコンサルティングを受ける。「90分でこの内容なら、安いか高いか」を、体感する。

こうした経験を重ねるうちに、自分の中で、いい値段かどうかの判断がついてきます。逆に、「無料の情報」だけを集め続けていると、いつまでもその判断はつきません。情報の量は増えていくのに、値段の感覚だけが置き去りになる──そんな状態が、続いてしまうのです。

誰に払えばいいか分からない——皆さんの臨床知を訳せる人が、日本にはまだいない

そして、ここでもう一つの壁にぶつかります。「無料じゃダメだ、ということは分かった。でも、誰に払えばいいかが分からない」

これは、本当に大事なつまずきです。看護師・PT・OT・薬剤師にとっては、医師よりも、もっと深刻な問題です。なぜなら、皆さんの仕事を本当に理解した上で、外の論理に翻訳してくれる相手は、医師にとっての翻訳者よりも、さらに少ないからです。

看護師の臨床知を理解できる人で、なおかつビジネスの価値を見抜ける人。理学療法士の動作分析を理解できる人で、なおかつ自費ビジネスの相場感を持っている人。薬剤師の服薬指導の現場を理解できる人で、なおかつ企業の健康相談の市場価値が分かる人。

こうした条件をすべて満たす人は、日本にはまだ、ほとんどいません。だからこそ、稀な相手を見つけることそのものが、最短コースの一部です。そして、見つけたら、相応の値段でお金を払って教えを請う。それが、自分の中の値段の感覚を育てる、もっとも確実な道だと、私は見ています。

医療従事者として「自分の名前で動く」第一歩は、開業でも独立でもなく、まずここから始まる場合が多いのです。

散らかっていたのではなく、棚がなかっただけ——動きが線として繋がるとき

もしあなたが、夜勤明けにスマホでnoteを漁り、副業ブログを読み込み、「無料の動画」を見尽くしてきた──そして、こう感じているのなら、ここは特に大事なところかもしれません。

「動いてはいる。でも、自分の中で、なぜか線として繋がっていない」

そう感じるのは、能力の問題ではありません。動いているからこそ、散らかって見えるのです。医療業界の中だけにいると、自分の活動を整理する「棚」を持っていないからです。だから、note、YouTube、メルマガ、「無料セミナー」、メルカリ、健診バイト──これらすべてが、それぞれ独立した「副業の試み」のように見える。

でも、整理棚で見ると、これらは全部、5つの形のどこかに属する活動です。院内勉強会で講師を引き受けたのは、形2。noteを始めたのは、形3。有料記事に踏み切ったのは、形3の中での「市場に値段を試した」一歩。健診バイトを始めたのは、形1の応用。自費セッションを試したのは、形4。

整理棚を持つだけで、自分が今、どの形で何をしているかが見える。散らかっていたのではなく、棚がなかっただけだった、と気づくはずです。そして、棚が見えれば、次に何を強化すべきかも、自然と見えてきます。「自分は形2と形3は試してきたから、次は形4を組み立ててみよう」「形4を充実させるには、形3の発信が土台になる」──そういう、戦略の選択肢が、目の前に並びます。

夜勤明けの電車で集めた知識が、明日の動きに変わらないまま降りる。この繰り返しからは、抜けられます。

抜けたあとは、同じ電車で読んだ記事を、どの段に置くかが決まります。

そのうち、名前で呼ばれます。「あの件、○○さんに頼みたい」。呼ばれた先で値段を決めるのは、自分です。

※ 上記のA・B・Cさんは、説明のために構成した架空の人物像です。