同じプログラムでも、起きることが違います
同じジムで同じプログラムに参加しているのに、成果に大きな差が出ることがあります。Aさんは腰痛が消えた。Bさんは体重が落ちた。Cさんはむしろ膝を痛めた。Dさんは半年続けても何も変わらない。
人によって違うのは当たり前、と片付けられがちですが、ここに、運動習慣が続かない・効果が出ない本質的な理由があります。その秘訣は、一人ひとりの状態に合わせた適切な体操の種類を選定できているかどうかにあります。
運動は、五つのカテゴリーに分かれます
運動を運動とひとくくりにせず、機能別に整理すると、選び方が変わります。
有酸素運動は、心肺機能を高める運動です。ウォーキング、ジョギング、水泳、エアロバイクなど。心血管系の健康と持久力に関わります。
レジスタンス運動、つまり筋力トレーニングは、筋力を強化し、骨密度に関わる運動です。自重トレーニング、ウェイトトレーニングなど。加齢に伴う筋肉量の減少に対して重要な位置づけにあります。
マインドボディ運動は、柔軟性とストレスへの対処に向く運動です。ヨガ、太極拳、ピラティスなど。自律神経の調整にも関わります。
関節可動域訓練は、柔軟性を高め、ケガの予防に置かれる運動です。ストレッチ、可動域エクササイズなど。日常の動作範囲を広げる基礎になります。
コンディショニング運動は、全身バランスを整える運動です。ファンクショナルトレーニング、バランスエクササイズなど。姿勢と動作の質を高めます。
一種類に偏らない、という考え方
五つのうち一種類だけに偏っているのが、多くの方の運動習慣の現実です。ジムに行くけれど、やるのはランニングマシンだけ。ヨガはするけれど、筋トレは一切しない。筋トレばかりで、柔軟性は全く考えない。
これは、単一種類の紅茶を飲み続けるようなものです。たまには美味しくても、体に要るものを全てカバーしているわけではありません。運動処方という考え方は、ブレンドティーに似ています。骨格や特徴に合わせて、複数のカテゴリーの運動をブレンドする。ここが本質です。
医師が運動を処方するときに入るのは、五つの要素です。既往歴を踏まえること(過去の怪我・手術歴から禁忌を判断する)。骨格の評価(個々の姿勢と関節の状態に合わせる)。予防視点(将来起こりうる障害を先回りする)。全身への影響を見ること(運動が他の身体機能に及ぼす影響を考慮する)。心身の統合(思考・感情の状態と運動の関係を見る)。
自分で見直すための、六つの問い
医師に相談できない場合でも、次の視点で自分の運動を見直すことができます。
過去1週間で、五つのカテゴリーのうちいくつを行ったか。特定のカテゴリーに極端に偏っていないか。過去に怪我をした部位に、リスクのある運動をしていないか。朝と夜、どちらのほうが体調が良いか(時間帯の適合性)。運動後に疲れすぎか物足りないか、強度は適切か。3ヶ月続けて変化があったか、なかったか。
目安は二つです。二つ以上の偏りや違和感が見つかったら、運動メニューの見直しのサインにあたります。
運動処方は一度決めたら終わりではなく、体調の変化に合わせて調整するものです。適切な運動の選定は、自己判断では難しい面があります。
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