初めて受ける、ということ
受講されたAさんは、初級コースに申し込む前、カウンセリングやセラピーを受けた経験がありませんでした。比較対象がないので、と前置きしつつ、ご自身の体験をとても率直に語っておられます。
初めての方が自己探求のプログラムで悩みがちなのは、自分で上げてしまうハードルの高さだったりします。期待しすぎてしまったり、完璧にやろうとしてしまったり。始める前から、うまくやらなければ、という力が入ってしまうのです。Aさんの場合は、そこに比較対象がないという条件も重なっていました。いまの進み方でよいのかどうかを、他の経験と照らして確かめることができないのです。
答えを渡さない、という設計
Aさんは、対話のなかで「いつも自分で上げてしまうハードルの高さを修正して寄り添って頂いた」と語っておられます。
受講生が自分で答えを見つけられるように、答えを与えるのではなく、寄り添い、伴走する。これはスラトレ®の設計思想そのものです。答えをもらえないことと、支えがないことは、別のことです。初めての方にとっては、答えをもらえないことが不安に見えるかもしれませんが、ハードルの修正という形の支えは、ちゃんとあります。
少しずつ、という速度
Aさんは、まだスラトレの入口ですが、と前置きしながらも、ネガティブを客観視する視点を持てたことで、出会う前との違いは明らかに感じているといいます。
一方で、思い描いていたスピード感では成長できていない、とも感じておられました。違いは明らかに感じている。けれども、期待した速さではない。この二つの実感は、矛盾ではなく両立します。それでも、今後への希望も少しずつ感じられるようになった、と。この、少しずつという感覚こそ、自立型トレーニングの本質ともいえます。
閾値が上がる、という感覚
Aさんが意外に良かったこととして挙げられたのは、「日常の刺激への閾値が上がる感覚」でした。日々の出来事に一喜一憂していたのが、少し引いて眺められるようになる。出来事の側が変わったのではなく、眺め方が変わった、という変化です。そしてこれは、感情を抑えることではなく、感情を知ることで生まれる変化です。
小さな変化が積み重なって、いつの間にか毎日の景色が違って見えてくる。Aさんが体感されたのは、そんな感覚でした。比較対象がなくても、変化の実感は、ご本人のなかに確かにありました。ここに書いたのは、Aさんお一人の受け取り方であり、同じ経過を保証するものではありません。
同じことを言われても、前ほど引きずらなくなります。朝、返信の来ていないメールを開いても、返事を待つあいだに次の予定の準備を始められる。夕方に一日を振り返ったとき、頭の中で何度も再生していた場面が、一度で終わっています。日々の出来事に一喜一憂しなくなるので、疲れないように予定を減らさなくても、一日が回ります。