振込だけで受け取ると、手間はどこに残るか
オンラインでサービスを届けるとき、支払いをどう受け取るかという問題が出てきます。長く一般的だったのは銀行振込だけの形でした。ただ、この形にはいくつかの課題があります。払う側の手間が大きいこと。銀行の窓口、ATM、ネットバンクの操作のどれかを踏むことになります。振込の確認に時間と手間がかかること。振込手数料が払う側の負担になること。そして、期限までに振り込まれるかどうか、出す側に不安が残り続けることです。
ここを引き受けるのがオンライン決済、いわゆる電子決済の仕組みです。クレジットカード払いを使えるようにすると、双方に変化が出ます。払う側には、24時間いつでも支払えること、カードで簡単に完結すること、振込の手間がなくなること、振込手数料がかからないこと。届ける側には、入金確認の手間がなくなること、入金を即時に確認できること、定期購入の設定ができること、売上管理を自動化できることです。
二つのサービスは、持ち味が違います
PayPalの持ち味は三つです。一つ目は定期購入、いわゆるサブスクリプションの機能が使いやすいこと。定期的な自動支払いの仕組みで、3回コースなら毎月1回を3か月間、6回コースなら毎月1回を6か月間、という組み方になります。払う側の毎回の手続きがなくなり、続く関係を築きやすくなります。二つ目は、プログラミングの知識がなくても設定できること。画面の案内に沿うだけで仕組みが出来上がり、サイトに貼り付けるボタンも自動で作られます。三つ目が基本の性格で、世界的に信頼性が高いこと、クレジットカード決済に対応していること、手数料が明確なこと、返金対応も簡単なことです。
Squareの持ち味は二つです。料金体系がシンプルで、取引ごとの手数料が明確、月額の費用はなく、導入コストは最安水準とされています。もう一つが管理画面の使いやすさで、売上管理が直感的、顧客データの管理機能あり、レポート機能が充実、と並びます。
始め方も違います。PayPalは三段です。ビジネスアカウントを開設して本人確認書類を出し、銀行口座を連携する。決済ボタンを作る画面でプラン内容、回数制限、金額、通貨を決める。ボタンのコードを取得してサイトに貼り付け、テスト決済をして完了。Squareは二段で、アカウントを作って事業者情報と振込先の口座を設定し、オンライン決済を有効にして商品やサービスを登録し、決済ページを整えます。
手数料は、時点をつけて見ます
以下は記事執筆当時、2024年3月時点の記載です。PayPalの国内取引は3.6%+40円。10,000円の決済なら手数料は400円と40円で440円、受取額は9,560円になります。月間100万円を超えると3.4%+40円の優遇があります。Squareのオンライン決済は2.5%から3.6%で、VISAとMastercardが2.5%、その他が3.6%。10,000円の決済なら3.6%で360円、受取額は9,640円です。
並べると五つの点で分かれます。固定手数料はPayPalにあり、Squareにはなし。売上が増えたときの優遇はPayPalにあり、Squareにはなし。料率のシンプルさはPayPalがやや複雑、Squareがシンプル。海外対応はPayPalが海外通貨に対応、Squareは国内中心。回数制限付きの定期購入はPayPalが得意で、Squareは手薄です。料率も条件も時期によって変わるため、最新のものは各社の公式の案内で確かめる形になります。
書き手の側の現在の構成も挙げておきます。決済はStripeとSquareの二本で、カレンダーからの予約に紐づく支払いはStripe、講座や月謝、対面での受け取りはSquare。予約そのものはCal.comで受けています。
小さく始めて、合うほうを残します
海外からの支払いもある、回数制限付きの定期購入を使いたい、将来的に売上の増加が見込める。このどれかに当てはまるならPayPalが向きます。少額の決済が多い、シンプルな料金体系を好む、国内の取引だけ。こちらならSquareです。
導入は最初こそ不安を感じるかもしれませんが、意外にあっさり開設できることが多いものです。小規模から始めて、実際の運用を通して自分に合う仕組みを見つけていく。決済の導入は、副業や複業の可能性を大きく広げる第一歩になります。
初めて入金の通知が届いた日、金額の大きさより先に効くのは、受け取れる自分になったという実感のほうです。厚意で回していたものが、続けられる形に変わる。無理を重ねて続ける働き方から、回りながら続く働き方へ。決済を入れると、その循環が回りはじめます。