方法を探すところから始まりやすい話です
株式の個別の銘柄をめぐる話は、たいてい方法の話として始まります。どれを選ぶか、いつ買うか。動画や交流サイトにも、勝つための方法という形のものが並びます。
知らない領域に入るとき、まず手順のほうを知りたくなるのは自然なことです。
ただ、元になった記事が最初に置いているのは、その反対向きの一文でした。
「必勝法は存在しない」から始まっています
個別株に、誰でも使える必勝法は存在しない。各自のマイルールの確立が唯一の解になる。記事は、この結論を先に書いてから中身に入っています。あわせて、本記事は投資情報の参考提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではない、という断りも冒頭に置かれています。
理由も添えられています。株式の市場は1分1秒で価値が変わるので、うまくいった事例はすべて過ぎたことについての話になる。いつ何を買えば勝てるのかを、未来について確約できる人は存在しない。動画や交流サイトで見かける必勝法も、過去を検証したものにとどまる。
だから、自分で考え、自分で決めるルールを育てることが本質だ、と記事は続けています。
手順は、五つの段として書かれています
記事には、書き手が実践してきた米国株の選び方が、手順0から手順4までの五つの段として書かれています。ただし手順0には、具体的な作業がありません。書籍や動画から学びを集め、自分だけのルールに昇華する、とだけ置かれています。手順1から先は、その手順0を埋めるための一例です。記事には「以下は筆者個人のルールの一例です。読者の皆さまにそのまま採用をお勧めするものではありません」という断りが、手順の途中に挟まれています。判断は読む側のものだ、という位置は最後まで動きません。
手順1は、取引が終わったあとに大きく上昇した銘柄を探す段です。上昇率のランキングを確認できるサービスを使う、とあります。ここで先に置かれているのは、選ぶ基準ではなく外す基準のほうでした。聞いたことも見たこともない銘柄には手を出さない、というものです。目安の数字も添えられています。株価は200〜300ドル以上を目安にし、将来有望性が高いと見た場合は40ドル以上を許容する。取引終了後の動きは、現地固有の材料を示唆する、という説明も付いています。
手順2は、投資調査会社 Weiss Ratings の評価を見る段です。Aは候補に残す、Bは要精査、C以下は投資対象から外す、と対応が決められています。同時にリスクの評価も見て、リスクがC以下なら購入を見送るのが安全側だ、と書かれています。評価の欄とリスクの欄は別で、両方を確認する形です。
手順3は、企業のホームページで理念と経営陣を調べる段です。投資は、その会社に長期でお金を預ける行為だ、という位置づけから置かれています。見る項目は三つ。経営者の考えと方針、社会貢献の具体性、そして語ったではなく実現したかどうかという実績です。大手が中小企業を苦しめるような経営は価値観として合わない、という線もここで引かれています。
手順4は、見つけた銘柄が日本の証券会社で買えるかを確かめる段です。取扱の数と注文の方式が会社によって違う、という形で並べられています。指値のできる形か、店頭で確実に買える形か。証券会社の内容や取扱は変更される場合があるので、最新の情報は各社の公式で確かめる、という注記も添えられています。
三つの決めごとは、銘柄選びの外側にあります
手順とは別に、記事は姿勢を三つ挙げています。自分の頭で調べ、自分で決める習慣を育てること。損切りのルールを事前に決めておくこと。生活を揺るがす量は絶対に持たないこと。
三つとも、どれを買うかを決める作業そのものではありません。手順の外側に、別立てで置かれています。記事は、続けるうちに向き合うことになるのは自分の価値観と判断と感情のほうで、投資はメンタルゲームの一種だ、と整理しています。
ここまでが、誰でも勝てる方法はあるのか、という問いへの答えです。存在しない、という答えでした。
ただ、この答えを受け取ると、次の問いが立ちます。ルールを決めることと、決めたとおりに動けることは、同じではありません。記事が続けるあいだの課題として挙げているのも、短期で結果を求めないこと、他人の成功話に揺らがないこと、値動きで気持ちが乱れない量を守ることでした。
決めた手順のとおりに動けるかどうかは、どこで決まるのか。これはルールの作り方とは別の問いになります。
ルールを守れるかどうかは、性格ではなく、生活の作りで決まります。眠れる量しか持たない、という一行が効くのはそこです。値動きに振り回されていた気力が、自分の判断を育てるほうへ回ります。