分けておくと、あとの手が軽くなります
副業や起業を始めたばかりの時期、経理は後回しになりがちな領域です。ただ、個人と事業の口座を分けておくと、確定申告のときの経理処理が容易になります。事業の収支を正確に把握でき、個人と事業の境界も明確になり、そのぶん本業に集中できます。法的な義務ではありませんが、実務のうえでは分けたほうが圧倒的に楽になります。
もう一つ効いてくるのが、口座名義に屋号を入れられることです。元の記事に挙がっている例でいえば、「タロウトレーナーヤマダタロウ」のように、屋号名と氏名を並べた名義になります。こうしておくと間違えようがなくなり、誤送金の防止にもつながります。クライエントからの信頼度が上がる、という側面もあります。事業が未経験の時期ほど、先に用意しておきたい準備です。
ネット銀行を選ぶ理由と、二つの組み合わせ
大手銀行ではなくネット銀行を選ぶ理由は三つです。アプリから利用明細を確認できること。入出金の手数料が大手銀行より安いこと。入金の反映がリアルタイムであること。
一つ目の組み合わせは、PayPay銀行です。屋号付きの事業用口座を開設でき、クレジットカードとの連携が簡単で、PayPayでの支払い設定を通じてポイントの還元も受けられます。カードのほうは「年会費無料」で、PayPay銀行のクレジットカードを事業用に限定して使います。支払いのたびに個人用か事業用かを決める形で、PayPay支払い時にはスライド一回で切り替えられます。PayPayアプリと連携させれば、店舗での支払いでも個人のPayPayアカウントにポイントが貯まります。
二つ目の組み合わせは、楽天銀行です。屋号付きの事業用口座をオンラインで簡単に開設でき、オンラインバンキングも使いやすくなっています。ただし、個人事業主専用の楽天クレジットカードはありません。デビットカードは利用できます。カードの代替案として挙がるのが、三井住友ビジネスオーナーズです。こちらも「年会費無料」で、事業用途に特化した機能があり、経費管理がしやすく、事業の代表者専用という位置づけです。Vポイントは個人アカウントに貯まります。以上は記事執筆当時、2023年12月時点の内容で、条件は各社の判断で変わるため、最新のものは各社の公式の案内で確かめる形になります。
守るのは、三つのルールだけです
運用のルールは三つです。事業収入は必ず事業用口座で受け取ること。経費の支払いは事業用のカードを使うこと。個人の買い物は個人用カードを使うこと。
この仕分けを徹底すると、確定申告のときの作業が楽になり、事業の収支が明確になり、経費計上の漏れを防ぐことが期待できます。ポイントも効率よく貯まります。そして、トレーニングや相談といった本業に集中しやすくなります。なお、税務に関する正式な判断が要る場面では、税理士など専門家に相談する形になります。
仕組みができると、本業に戻れます
経理の不安は、仕組みを整えてしまえば大きく軽くなります。屋号付きの事業用口座と事業用カードのセットを、早い段階で用意しておく。最初の一手はそこに置かれます。
通帳を開いたときに見えるのが、生活と混ざった数字ではなく、事業そのものの姿になります。今月これだけ受け取った、これだけ投じた。数字が漠然とした不安の元ではなく、自分の判断の材料に変わる。口座を分けるのは、事業を自分の目で見るための一手です。