順番を変えると、費用の総額が動きます
起業のハードルは、ひと昔前と比べて大幅に下がりました。要るものはすでに世の中に存在しています。あとは探して組み合わせるだけです。初期費用と継続費用をかけないことに全力を注ぐこと。これが1人起業の鉄則になります。
推奨する順番は、会計ソフト、事業登記、顧問税理士、資金調達の四段です。多くの人がいきなり法人設立から入りますが、会計ソフトを先に決めることで、その後の手続きが大幅にスムーズになります。
オフィスの選択肢は三つです。自宅をオフィスにする、バーチャルオフィスを契約する、賃貸を借りる。自宅の場合、住所が一般公開されます。プライバシーを守りたい場合は、Googleマップのクチコミ戦略が使えなくなるという裏返しがあります。バーチャルオフィスは月額5,000円から9,800円が相場で、週1回の郵便転送が付くことが多く、さまざまな起業サポートも受けられます。毎月の固定費を上回る収益が見込める段階になってから契約するのが現実的です。賃貸は固定費が最も高いため、収益の見通しが立ってから検討する形になります。
会計ソフトを先に決めます
法人設立に向けての第一段が、会計ソフトを決めることです。国内の三大会計ソフトは、freee、マネーフォワード、弥生会計です。
起業の段階から各社が顧客獲得の競争を繰り広げているため、バーチャルオフィスや会計ソフトのサービスから電子印鑑のプレゼント特典が付くことがあります。こうした特典は積極的に活用する形になります。
事業登記は、三つの形で費用が違います
個人事業主は費用ゼロで始められます。要るのは税務署への「開業届(無料)」と印鑑代1.5万円から2万円のみです。法務局へ書類を出すだけで完了します。
合同会社の設立費用は7万円から8万円です。内訳は登録免許税6万円と印鑑代1.5万円から2万円で、資本金は1円から可能です。株式会社の設立費用は18万円から20万円です。登録免許税15万円、定款認証3万円から5万円、印鑑代1.5万円から2万円がかかります。こちらも資本金1円から可能です。年間売上が800万円を超えてきたタイミングで、株式会社への移行を検討するのが目安になります。以上は記事執筆当時、2023年12月時点の記載です。制度や費用は改定されることがあるため、最新のものは各制度の公式の案内で確かめる形になります。
登記のあとには、法務局、銀行、税務署、年金事務所への届出が残ります。振込手数料を比べると、ネット銀行は振込1回あたり約150円から330円と圧倒的に安く、社会保険料の口座振替に対応しているかどうかも確認しておく点です。
起業と同時に活用できる公的支援もあります。小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、各市町村の創業補助金。さらに、企業が主催する起業コンテストも選択肢に入ります。起業の手続きが終わってから使えるサービスも多いため、登記が終わったタイミングで改めて確認する形になります。なお、金額も要件も年度によって変わるため、最新のものは各制度の公式の案内で確かめることになります。
難しいのは、ソフト面のほうです
ここまで挙げた登記、口座、会計ソフトといったハード面は、このように非常に簡単になりました。難しいのはソフト面、つまり「何をゴールにするか」「なぜ自分じゃないといけないのか」を言語化することです。
達成したいゴールを先に設定し、そのためのスキルとツールを選択する。この順番を守ることが、長続きする事業の基本になります。
開業の準備で最初に開くのが、比較表ではなく白紙になります。何を成したいのかを先に書けば、要る道具はあとから決まります。話題が、安く済ませる工夫ではなく、何のために始めるかに移ります。順番を変えると下がるのは費用ですが、変わるのは、始める理由の置き場所のほうです。