BLOG

法務の次に来るもの、医療従事者が収入の柱を増やす理由

専門職の仕事がどこから削られていくのかを、実際に起きた出来事から順に追う話です。

公開日:2026年2月8日 / 外で起きていること

一日で四十三兆円が動いた日

Anthropic社が2026年1月30日に発表したClaude Coworkに法務プラグインを追加しただけで、法務ソフトウェア企業の株価が一日で3000億ドル、日本円で約43兆円吹き飛びました。法務プラグインとは、AIが契約書のレビューまでできるようになった、ということです。専門職の聖域に踏み込んだ形になります。

Thomson Reutersは18パーセント安で過去最大の下落、RELXは17パーセント安で1988年以来最悪の下落を記録しました。ゴールドマン・サックスのソフトウェア株指数は、一日で6パーセント下げています。ここに挙げた数字は2026年2月時点のもので、その後の推移は各社の公表資料で確認できます。

Claude Coworkは、契約書をアップロードするだけで次のことを自動で行います。契約書のサマリー作成、表形式での改善案の提示、添削付きのWordファイルの生成、NDAの優先度判定、コンプライアンスチェック。これまで弁護士や法務担当者が何時間もかけていた仕事が、数分で終わります。

同じことは、会計の現場で先に起きています

弁護士の仕事は本当に減るのか。結論から言えば、確実に減ります。Claude、ChatGPT、Geminiなどの生成AIによる契約書レビューを弁護士が検証した結果では、法的な構成や条文の内容、法律用語の使い方の精度が高く、現段階でこの精度まで進化しているのは脅威、と評価されました。最終的な法的判断は人間が行う必要が残りますが、ルーティンワークとしての契約書レビューは減少します。Harvey AIやLegolaなど法務AI企業の多くがAnthropicの基盤モデルに依存していたところへ、その供給元が直接プラグインを出してきた。供給元が競合になる、という構図です。

同じことは、別の業界で先に起きていました。弥生会計、freee、マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトの登場により、税理士の仕事は確実に減っています。これは業界内でよく聞かれる話です。記帳代行、試算表作成、決算書作成。これらの多くが自動化され、依頼する必要性が薄れました。税務相談や複雑な申告業務は残っていますが、単純作業の部分はもう奪われています。

次に来るのは、医療の現場です

電話ボックスのような検診ブースに入り、受診者が自分で聴診器AIを胸にあて、AIが自動で心音や呼吸音を分析する。この形が実現すれば、検診医の仕事は大幅に減少します。残るとしても、異常値が出たときの二次確認程度の役割になりそうです。

オンライン診療の普及も急速です。医師の仕事は、対面での細かい診察から、データを見てのチェックへ徐々に変わりつつあるように思います。AIが予備診断を行い、医師は最終確認をするだけ。こうなると一人の医師が処理できる患者数は増えますが、単価は一気に下がりそうです。責任の所在と引き換えの存在価値、とも言えます。

健康診断では、注射器で何本も血液を採取しています。技術の進化により、唾液検査や指先からの微量血液で全ての検査ができるようになれば、採血専門のナースは不要になります。

残る仕事、消える仕事、そして収入の柱

全ての仕事がなくなるわけではありません。残る可能性が高いのは、画像診断の読影補助、心電図測定などの検査技師、患者とのコミュニケーションが必要な看護業務、高度な判断を要する専門医療です。消える可能性が高いのは、定型的な検診業務、ルーチンワークとしての採血、単純な画像診断の一次読影、オンラインで完結する軽症診療になります。

医療従事者の強みは、専門知識と信頼性です。これを活かした副業として挙がるのは、医療ライターと監修、オンライン健康相談、オンラインでの独自サービス提供。ほかによく知られているものとして、医療系YouTuberやブロガー、企業の産業医や顧問、医療系スタートアップのアドバイザー、医療通訳と翻訳、医療機器の販売代理店があります。収入の柱を複数持つことで、自動化が進んでも生活の安定を保てます。

時代の変化を嘆くのではなく、変化を先取りして行動する。それが、デジタル社会をサバイブし、ひいてはスライブする鍵になります。

収入の柱が2本になると、勤務の希望を出すときの気持ちが軽くなります。断ったら評価が下がる、ではなく、今月は書くほうに時間を使いたい、で出せる。渡された勤務表の上に、自分の意思が先に置かれます。

※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・心理療法ではありません。個人の感想であり、効果を保証するものではありません。
道具は、決めてしまえば手から離れます。残るのは、自分の名前で何をどこまでやるか——その一本の線です。スラトレ®キャリアラボの90分の面談は、その線をご自身の言葉で引くための時間です。90分のキャリア相談を見る