副業を、資格の延長線上だけで考えない
副業というと、資格に関係した分野ばかりを想像しがちですが、それだけにこだわらなくても組み立てられます。「資格+好きなこと」「資格+別軸の専門性」という組み合わせは、いまの時代だからこそ実現できる形です。
書き手自身も、会社ではメンタル思考トレーニングを提供し、診療所では身体の専門家として整形外科や運動器リハビリの臨床に携わっています。どちらも人間を構成する大切な要素であり、互いに相乗効果があります。
ここで取り上げるのは、心理士が教える体操教室と、整形外科医が提供するメンタル思考トレーニングという、少しユニークな二つの事例です。
心理士が体を扱うようになった背景
心理カウンセラーや臨床心理士といえば、対話を通じて心の支援を行うというイメージが強いかもしれません。体のケアやフィジカルトレーニングは苦手そうだ、という印象を持たれることもあります。
近年は心と体はつながっているという理解が深まり、体を動かすことが心の安定につながるという視点から、心理士が運動指導を行う取り組みが注目されています。呼吸法、ヨガ、軽運動、ストレッチなど、シンプルな体操から始めることで、不安やストレスの軽減につながることが多く、欧米では一般的に見られる取り組みです。日本ではまだ専門的に展開している方は少ない印象があります。
スタンフォード大学ビジネススクール教授であるケリー・マクゴニガル氏も、メンタルの重要性を語る講演で一躍有名になりましたが、実際に現地ではヨガの指導をされていました。心と体の両面を扱う姿勢は、世界的に見て高い専門性のかたちとなりつつあります。
国家資格の信頼が、別軸の説得力になる
体の側から進めたのが、整形外科医が開発したメンタル思考トレーニングです。臨床現場では、単に身体の不具合を処置するだけでは解決できない問題が数多く存在します。考え方や内的対話のクセは、身体の状態と密接に関係しています。だからこそ、体のアプローチを通じて心を整え、心を通じて身体を整えるという循環が要ります。
別軸のかけ合わせは、ほかにも並べられます。心理士が体操を教える。医師がメンタルトレーニングを開発する。看護師がヘルスコーチをする。薬剤師が食育を発信する。管理栄養士が外食店ガイドを運営する。
いずれも資格の枠を超えて価値を届ける副業で、これらはすべて、国家資格の信頼があるからこそ成り立つ説得力と安心感を持っています。
材料は、いまの職務のなかにすでにある
副業は、収入を得る手段であると同時に、自分らしい人生の表現方法でもあります。かけ合わせの片方は資格として手元にあるので、探すことになるのはもう片方、つまり好きなことや別軸の専門性のほうです。
心が動く場面、続いている習慣、同僚から頼まれやすい仕事。この三つを書き出すと、二本目の軸の候補が並びます。並んだあとに要るのは、そのうちどれを自分の持ち味として扱うかを決める判断のほうです。